思想

一言一話 156

Psychoanalysis and Storytelling (Bucknell Lectures in Literary Theory) 作者:Brooks, Peter Wiley-Blackwell Amazon 前快感と文学 このよく知られた一節で、文学形式の諸効果と前快感が同一視されていることは、多分、一見思われるほどつまらないことで…

一言一話 155

Reading for the Plot: Design and Intention in Narrative (English Edition) 作者:Brooks, Peter Knopf Amazon 反復と物語 『想起、反復、徹底操作』および『快感原則の彼岸』の議論を例証として、我々は、反復が想起の一種であり、そのつながりが不明瞭で…

一言一話 154

Reading for the Plot: Design and Intention in Narrative (English Edition) 作者:Brooks, Peter Knopf Amazon フロイトから引き出されるプロットのモデル 反復の役割 我々が『快感原則の彼岸』の読みから引き出すのは、中間物を迂回、遅れを課する強迫の…

一言一話 153

Reading for the Plot: Design and Intention in Narrative (English Edition) 作者:Brooks, Peter Knopf Amazon 正しい死に到るための物語 有機体は正当な仕方で死ぬために、正しい死を死ぬために生きなければならない。終わりに到達するためにはプロットの…

一言一話 154

ラヴズ・ボディ 作者:ノーマン・O. ブラウン みすず書房 Amazon 固有の自我という幻影 我々が自らのものだとしている魂(自己)は幻影である。「自我−心理学」に対する精神分析の真の貢献は、自我はのみ下され、取り込まれた世界の外部にある小片、あるいは…

一言一話 153

ラヴズ・ボディ 作者:ノーマン・O. ブラウン みすず書房 Amazon 魂=性器の専制 魂はマネキン、分身、影、あるいは反映である。魂は「自我の複製」、「自我のナルシシスティックな分身」である。本来の自我は身体−自我であり、身体を通して拡散する(多形性…

一言一話 152

ラヴズ・ボディ 作者:ノーマン・O. ブラウン みすず書房 Amazon 仮面と人格 アタナシウス信条の込み入ったドラマツルギーは古い物語−−神の人間への化身(あるいは再生)のドラマ−−の新たな解釈である。ここに主張されていると思われるのは、役者の役割への神…

一言一話 151

ラヴズ・ボディ 作者:ノーマン・O. ブラウン みすず書房 Amazon [翻訳本を買った覚えがないので、自分で訳したような気がする。] 夢と死 眠ること。死ぬこと。眠りは死の双子の兄弟である。「眠りは夢によって攪拌される死であり、死は夢のない眠りである…

一言一話 150

ノーマン・ブラウン『エロスとタナトス』から。 スピノザとフロイト フロイトとは異なるスピノザが洞察しえなかったことは「多くのことに適合する肉体」を得る努力とは、幼児の肉体の復元であるということである。スピノザの「多くのことに適合する肉体」と…

一言一話 149

ノーマン・ブラウン『エロスとタナトス』から。 スピノザの神とフロイト スピノザの体系の神は<<自然の総合体>>である。彼は愛を快楽として、外的原因(快楽の源泉)という考えとともに、満足は愛する対象の存在にあるという意味で、愛するものとの総合…

一言一話 136

Lacan 作者:Bowie, Malcolm Harvard University Press Amazon 連合主義の心理学の欠陥は、それが常に<類似>という観念によって動き、実際それを心的モデルをつくりあげるときの首尾一貫性の全能の保証として使用するのであるが、その観念が何をもたらすか…

一言一話 134

Rousseau & Romannticism 現実と幻影 生というのは、ここでは一なるものを与え、他では変化を与えるというものではない。<常に変化する一なるもの>を与えるのである。一なるものと変化とは分けることができない。堅固で永続性のあるものが真実だと感じられ…

一言一話 123

フランス革命についての省察ほか〈1〉 (中公クラシックス) 作者:バーク 中央公論新社 Amazon フランス革命についての省察ほか〈2〉 (中公クラシックス) 作者:バーク 中央公論新社 Amazon 先入見の擁護 あなたがおわかりになるように、わたくしは、この啓蒙の…

一言一話 122

フランス革命についての省察 (光文社古典新訳文庫) 作者:バーク,エドマンド 光文社 Amazon 人間の本性と社会の複雑さ 日常生活にはいったこれらの形而上学的諸権利は、濃い媒質にさしこんだ光線のように、自然法によって、そのまっすぐな線から屈折させられ…

一言一話 96

物の体系: 記号の消費 (叢書・ウニベルシタス) 作者:ジャン ボードリヤール 法政大学出版局 Amazon 物の分化に反比例する人間の行為の分化 習慣になっているいくつかの行為が役に立たないこと、身体の操作に基づく日常生活のリズムの切断からは、深い心理・…

一言一話 95

シミュラークルとシミュレーション (叢書・ウニベルシタス) 作者:ジャン ボードリヤール 法政大学出版局 Amazon 獣 無意識と領土 獣には無意識がない、というのは、それらには領土があるからだ。人間に無意識が生まれたのは領土を失ってからのことだ。領土と…

一言一話 92

The Freudian Subject 作者:Borch-Jacobsen, Mikkel Stanford University Press Amazon 欲望と同一化 欲望(欲望する主体)は最初に来るのではなく、欲望が充足することを許す同一化に<続いて>やってくる。始めにくるのは同一化への傾向、欲望を生じさせる原…

一言一話 83

新編正名と狂言―古代中国知識人の言語世界 作者:大室 幹雄 せりか書房 Amazon 荘子の言語観 仮りに荀子の言語観を、世界ー観念ーことば、と図式化するならば、これとの対照において荘子のそれは、世界ーイメージーことバー観念、とでも表示できるであろう。…

一言一話 82

新編正名と狂言―古代中国知識人の言語世界 作者:大室 幹雄 せりか書房 Amazon 道教 選ばれた瞬間が回想、追憶であること 道家、たとえば荘子にあって事情はまったく異なる。経験的日常的次元において世界はその無定形・不安定・了解不能性・不気味さ等々にお…

一言一話 81

Supposing the Subject Verso Amazon エチエンヌ・バリバールSubjection and Subjectivation 「主体」という概念が意味するもの 決定的な歴史的瞬間、「ブルジョア革命」の転回点において、哲学的言語の本質的な構造の内部に、我々は二つのまったく異なった…

一言一話 78

テクストの快楽 作者:ロラン・バルト みすず書房 Amazon 二つのレアリスム 今、読んだばかりの古いテクスト(スタンダールの伝える聖職者の生活の一挿話)に命名された食物が登場する。牛乳、タルティーヌ、シャンティイのクリーム・チーズ、バールのジャム…

一言一話 77

テクストの快楽 作者:ロラン・バルト みすず書房 Amazon 新しいことと悦楽 「新しいこと」はモードではない。批評全体の基礎となる価値だ。世界に対するわれわれの評価は、もはや、少なくとも直接的には、ニーチェにおけるように、<高貴と卑賤>の対立には…

一言一話 76

テクストの快楽 作者:ロラン・バルト みすず書房 Amazon 退屈と悦楽 どうにもしようがない。退屈は単純ではない。(作品を、テクストを前にした時の)退屈からは、いらいらしても、放り出しても、抜け出せない。テクストの快楽が間接的な生産を想定している…

一言一話 75

テクストの快楽 作者:ロラン・バルト みすず書房 Amazon 批評の読み方 <報告された>快楽から、どのようにして快楽を汲み取るのか(夢の話、パーティの話の退屈さ)。どのようにして批評を読むのか。唯一の手段はこうだ。私は、今、第二段階の読者なのだから…

一言一話 74

新=批評的エッセー―構造からテクストへ 作者:ロラン・バルト,花輪光 みすず書房 Amazon 何でもないこと <何でもないこと>は<何でもないこと>としか言いようがない。<何でもないこと>はおそらく、どんな言いかえ、どんな隠喩、どんな同義語、どんな代用…

一言一話 73

新=批評的エッセー―構造からテクストへ 作者:ロラン・バルト,花輪光 みすず書房 Amazon 固有名詞 「固有名詞」は語り手が無意識的記憶に認める三つの特性をもつ。つまり、本質化の能力(というのは、唯一の指向対象だけを指示するからである)、引用の能力(…

一言一話 72

新=批評的エッセー―構造からテクストへ 作者:ロラン・バルト,花輪光 みすず書房 Amazon 老年 記憶によって整序され構造化されうるようになると(これは非常に若いうちにも起こりうる)、実存はただちに運命となり、しかもまさにそのことによって終りを告げる…

一言一話 70

新=批評的エッセー―構造からテクストへ 作者:ロラン・バルト,花輪光 みすず書房 Amazon 絵における運動 ヌーメン 運動が運動そのものを意味するためには、動きの極点において不動化されなければならない。この前代未聞の維持しがたい休止こそ、ボードレール…

一言一話 69

新=批評的エッセー―構造からテクストへ 作者:ロラン・バルト,花輪光 みすず書房 Amazon ラ・ロシュフーコーと怠惰 能動的な情念は最終的にまだしも評価出来る。というのも、それは一つの形をもっているからである。だが、怠惰(または弱さ)は悪徳以上に美徳…

一言一話 68

新=批評的エッセー―構造からテクストへ 作者:ロラン・バルト,花輪光 みすず書房 Amazon 対照法とポワント様式 対照法はただ単に強調の文彩ではない。つまり要するに思考の単なる装飾ではない。対照法はおそらく別のものであり、それ以上のものである。辞項の…