2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧
... 形象 Imagery キャロライン・スパージョンの『シェイクスピアの形象』を読む喜びについては既に述べた。確かに、詩にまつわる問題について我々の尊敬するM・D・ザベル氏はこの本について意見の保留を表明している。彼は形象の分析が幾分ぞんざいだとし…
thomas aitizer,The Genesis of God 統合された「私」というのは、ユートピアでしかない。分裂した私も病的になると厄介だろうが、もともと私には充填されることのない穴が空いている。 ナルシシズムとユートピア的「私」 神と罪との関係 アウグスティヌスは…
... 同一性、同一化 Identity,Identification 我々が関わってきたすべての事柄は同一性の問題に行き着く。ブルジョア的自然主義の最も素朴なあらわれは、「個人」と「環境」を鈍感に区別し、自動的に、個人の「アイデンティティ」を私的な、彼のみに固有なも…
thomas aitizer,The Genesis of God 創世記と黙示録が揃っているというのは、考えてみると不思議な宗教である。生きているあらゆる人間が物語の登場人物たり得るわけである。 ヘーゲル、マルクス、キルケゴール マルクスとキルケゴールはヘーゲル体系の真の…
... 「いずれにしても私の勝ち」 事態がある方向に向かえば体系的にそれを説明し、事態がまったく反対の方向に向かっても体系的に説明するという仕掛けのこと。最初にこの図式に突き当たったとき、我々は議論の信用度を試す方法を見つけたと思った。ある哲学…
酒中趣 (1984年) (筑摩叢書〈289〉) 作者:青木 正児 メディア: - 『神仙伝』のなかに、さる仙人が宮廷に招かれ、術を披露しろと命じられたところ、たちまち石と化した、というエピソードがあったと思う。幸田露伴の『新浦島』という小説は、それ以前にさま…
... 「よき生」 "Good Life" 「人々とうまくやっていく」ことには、必然的に「よき生」という考えが含まれる。それについて簡潔に述べてみよう。 最大限の身体性。身体的経済的設備の必要性を踏みにじる限り、グロテスクな魂だけの存在になる。多くの心理学…
酒中趣 (1984年) (筑摩叢書〈289〉) 作者:青木 正児 メディア: - 私はもう酒をのまなくなって10年くらい経つ。惜しむらくはこんな馬鹿馬鹿しい辞世の歌を残せなくなったこと。 大酒の会 江戸初期慶安の頃江戸に大酒戦が行はれた。一方の大将は地黄坊樽次…
... 法廷弁論 Forensic 物品は広場で、市場で供給される。物品についての法律、議会の進行、交通法規、科学的な因果関係は複雑で洗練される交易(物質的および精神的な種類の)に従って発展する。原始的な社会では、法廷的なものは最小限であるか、完全に欠…
Locke (Arguments of the Philosophers) 作者:Ayers, Michael 発売日: 1993/12/02 メディア: ペーパーバック 伝統的な実体とは、馬は4本足で、たてがみとしっぽがあり、顔は細長く、乗ることができるなどといった五感から得たものの集大成であり、むしろロ…
... 本質 Essence 行為は共同的なものか競争的なものかである。「本質」としてどちらかが選択される。例えば、婉曲な言い方をする者は、その行為は「神の栄光のために」なされたと言うかもしれない。暴露家は(ニーチェ流の考え方)本質として戦闘的要素を選…
Locke (Arguments of the Philosophers) 作者:Ayers, Michael 発売日: 1993/12/02 メディア: ペーパーバック ロックが経験論の始祖とされ、教義上はまったく異なるデカルトと対話(現実にというか思想的に)することができた理由がわかる。 経験論から概念—…
... 効率性 Efficiency 正確な比率を危険にさらす。ある新しい朝食を発明するとき、身体の全体的なバランスにとって必要なある要素を取り去ることで、効率的に我々を喜ばすこともできよう。また、別の誰かが失われた要素を取り戻すべきであることを発見する…
幸田文の箪笥の引き出し (新潮文庫) 作者:青木 玉 メディア: 文庫 商家の下女が如来の化身だと見立てられたように、酒席の一場面を舞台の一場面として切り取る方の久保田万太郎もまた江戸的であり、遠い江戸の余香が立ち込めるようなエピソードである。 幸田…
邂逅 (1976年) (旺文社文庫) 作者:椎名 麟三 メディア: 文庫 椎名麟三に関しては「深夜の酒宴」と「重き流れのなかに」その他初期の短編を数十年前に文庫で読み、教文館からでているキリスト教に関するエッセイ集の端本を読んだことがあるだけで、そのときに…
幸田文の箪笥の引き出し (新潮文庫) 作者:青木 玉 メディア: 文庫 着物というのは最終的には生地を身に纏うことに収斂される。ほつれれば継ぎがあてられる。いま我々がまとっているのは手仕事ではなく、テクノロジーであり、そのため継ぎが決定的に異質なも…
... 自分の世界を「稼ぎだす」 安逸をむさぼる暇などない。継承されたものはすべて新たに稼ぎださねばならない(さもなければ、疎外と堕落が始まる)。想像力なしに科学の教えを復唱する低能は稼ぎだしていないものを得ようとしているのであり、結果は落胆に…