2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧
ブロンズの騎士はあかざの奥に住み 楊貴妃やマダムのつける明石玉 夜が明けて黎明の夜になりぬれば 赤土で瞳を覆うオルフェウス 贖いは亀甲縛り夏日かな
黒いユーモア選集〈1〉 (河出文庫) 作者:アンドレ ブルトン 河出書房新社 Amazon 黒いユーモア選集〈2〉 (河出文庫) 作者:アンドレ ブルトン 河出書房新社 Amazon ボードレールと黒いユーモア 数カ月の沈黙を破って、彼がつぶやいた最後の言葉は、この世で最…
VIII.思春期のよこしまさ 『神学大全』の問答形式で、この章はなぜアウグスティヌスが、仲間と一緒に梨をとりそれを豚に投げつけた思春期の悪ふざけをかくも強調するのだろうかを問う。その行為は彼の宗教的動機の完全なパロディー(「よこしまな模倣」)と…
[それは不整合であることが証明され、自らを超え出る現象である。] 素っ気なく、欠陥のある概略ではあるが、善から矛盾を取り除く宗教の主張について述べた。我々が考えるべきなのは、そうした主張がどの程度まで正当化されるかということである。宗教はあ…
時止まり銅だけが腐食して ますらおが赤貝を割る春の夜 赤蛙胎内回帰の蛇の穴 雨が降るあがく明美は球体に ちはやぶる赤毛の彼の蘇り
黒いユーモア選集〈1〉 (河出文庫) 作者:アンドレ ブルトン 河出書房新社 Amazon 黒いユーモア選集〈2〉 (河出文庫) 作者:アンドレ ブルトン 河出書房新社 Amazon ポー 異常なものと奇妙なもの これまでどのように言われてきているにせよ、彼の人工性と異常…
Ⅶ.悪はどこから発するか (全能の善なる神によって創造された世界において悪をどう扱うかの問題。形象:「食」としての悪。善が単一体として、悪が組として扱われた段階。悪と糞便との連想。アウグスティヌスの悪の非実在性についての見解のロゴロジー的等…
[それはなんであり、どうやって満足を約束するのか。] この高度の意識において、私は完全な解決が見いだされるとは言わない。というのも、宗教は実践的なものであり、いまだ善の観念に支配されているからである。そしてこの観念の本質には解決されない矛盾…
赤葦毛バカラに興じ一人勝ち 赤蟻が密集する満州よ 赤犬が自身の尾を追う北半球 松濤の最後の晩餐赤いもの芽 赤鰯頭のほうから腐りゆき
黒いユーモア選集〈1〉 (河出文庫) 作者:アンドレ ブルトン 河出書房新社 Amazon 黒いユーモア選集〈2〉 (河出文庫) 作者:アンドレ ブルトン 河出書房新社 Amazon スウィフトとヴォルテール 人生の様相に反応する態度全体が、かれをヴォルテールと反対のもの…
Ⅵ.途中部分(b) (個人的愛着。美的な時期において、密接な関係をもっていた男友達の死。アリピウス、彼の「好奇心」、上流喜劇の材料。議論を交わすグループ。恋人(匿名)。アデオダトゥス、アウグスティヌスの庶子。母親モニカ、その敬虔さ、その影響…
[道徳性の要求は、自らを超えでて宗教にまで進む。] 道徳的ではないものが道徳的だということは逆説的だが、有効に働いている原理であり、いたるところに見られることでもある。宇宙のあらゆる個別の側面は、もしそのように主張するなら、それ自体より高い…
減菌室オウム返しを消す白さかな 初春やステレオ仕様のオウム石 堀之内風にしだれる亜鉛の実 赤赤赤赤赤赤に虹を混ぜ 鉱石のうねりのなかに閼伽を置き
黒いユーモア選集〈1〉 (河出文庫) 作者:アンドレ ブルトン 河出書房新社 Amazon 黒いユーモア選集〈2〉 (河出文庫) 作者:アンドレ ブルトン 河出書房新社 Amazon 黒いユーモアとその敵 黒いユーモアは、馬鹿馬鹿しさとか、懐疑的なアイロニーとか、重苦しさ…
Ⅴ.途中部分(a) (基本的日付。幼児期に帰せられる動機。神へ向かう食物のイメージ。修辞家という職業からくる口唇の強調とのあり得る関係。幼児期の「罪深さ」。「好奇心」の罪。むち打ち。いい意味での「好奇心」。倒錯。「破滅」。大都市の洗練とマニ…
[その不整合、無あるいは悪に終わる。] これは道徳性が否応なしに駆り立てられるように思えるという見地である。人間がその内的な意志のみによって判断されるのは、結局のところ、否定できないように思える。そして、そうした教義が自己矛盾し、善の概念と…
青侍奥義の果てはクジラ割り 球体に鶯宿梅の枯れ木立 来客のオウムのごときバランスよ 港町阿吽の息で温めて 糸たぐりオウムガイからでるデメーテル
梶井基次郎全集 全1巻 (ちくま文庫) 作者:梶井 基次郎 筑摩書房 Amazon ある崖上の感情 崖の上から他人の家の窓を見る 僕はながい間じいっと眼を放さずにその窓を見ているのです。するとあんまり一生懸命になるもんだから足許が変に便りなくなって来る。ふら…
Ⅳ.中間部分、要約 (改宗の瞬間における「開く」という語の発生率。転向者のグループ。アウグスティヌスの改宗についての見解。改宗と倒錯が併置される。) アウグスティヌスの回心は『告白』全体のほぼ数学的中心で重大な局面を迎える。前の章(第八巻第十…
[内的道徳性としての善。] しかし、この問題についてこうした考え方では不満足な部分があると思えるので、より詳細にわたって考えることにしよう。より洗練された意味合いで、我々はまだ善を扱ってはこなかった。(1)すでに知ったように、善は道徳性であ…
あいなめを並べるザルの青々と 抜けた歯でこよりをつくるアイヌの子 亡き人の愛別離苦のゴンドラよ 曖昧に刀を交わす敵討ち 哀憐を固ゆでにして凍らせて
フランツ・カフカ (1955年) 作者:マックス・ブロート Amazon 『審判』の朗読、笑い カフカが自分で朗読するとき、このユーモアは特にはっきりと現われた。たとえば、彼が「審判」の第一章を聞かせてくれたときなど、われわれ友人たちは腹をかかえて笑った物…
Ⅲ.終り (最後の言葉「開かれるであろう」————最後の文の文体的な側面。「開く」という語を含む他の注目すべき文脈。「開く」が「宙づり」に突き当たるような文脈。) 『告白』の最後の言葉は「開かれるであろう」という意味の動詞である(中間部分は始まり…
[善の相対性。] こうした議論は退屈であったが、教訓的でないことはなかったろう。善の本性についての一般的な結論を確認するすべになった。善は絶対でもなければ究極的でもない。それは事物の本性の一面、部分的な側面である。それは不整合によって、原理…
愛染の隠し扉で息止める君 愛憎の柵を越えたる虎の子よ 横須賀や愛想づかしの青海波 竹籠のあいだる君を抱擁し 憎しみもあいつのなかの四錐体
フランツ・カフカ (1955年) 作者:マックス・ブロート Amazon オドラデク 『おまえさん、名前はなんというの。』――『オドラデク(Odradek)。』(この名前は『反逆者』を意味する一連のスラブ語を思いおこさせる。種族rodにそむき、神のおぼしめし、すなわち…
Ⅱ.始まり (音楽性および観念として考えられ、方向性と否定に強調点が置かれた冒頭。本の最初の文が含むもの。文体の範型としての『詩篇』の重要性。称讃の心理学。他の証拠となる語、特に「探し求める」、「我-汝」、「どうして」。アウグスティヌスの文…
[しかし、一般的な倫理学はそのそれぞれを究極的なものとし、必然的に失敗する。] こうして我々は十分時をかけて進んできた。しかし、ある種の読者のために、善の相対的な性格についてもうしばらくとどまろう。多くの英国のモラリストは、善は究極的で絶対…
ご時世に直立する鮎の塩 釜のない不毛な愛の転轍機 あいと答えよ踏みにじられた蝉の抜け殻 愛嬌の時代のついた青頭巾 灰色の斜め左右のお愛想 陶片の小さな神にご挨拶 人形をマルチーヌと呼び愛子とし 愛執の柵を越えたる獅子の影 玉水や愛する君の髪先に 愛…
フランツ・カフカ (1955年) 作者:マックス・ブロート Amazon すばらしい夢 カフカは私に、「一隻の小舟に乗って、水のない河床を走ってゆく」「すばらしい夢」を物語った。 すばらしい。