2021-12-19から1日間の記事一覧

一作目二作――山口淳太『ドロステのはてで僕ら』(2020) ステファン・ドゥームスティエ『ブレスレット 鏡の中の私』(2020)

ドロステのはてで僕ら 土佐和成 Amazon ブレスレット 鏡の中の私(字幕版) ロシュディ・ぜム Amazon 十年近く小劇場に通っていたので、舞台を映画にした作品はすぐにわかる。はたして、ヨーロッパ企画という劇団による映画化だった。もっとも私が足繁く通っ…

よろずの紙反故 27

虫の音がフラスコ満たす曙や 揚巻の身を包みたるホイルかな 明け六つに死に装束の銀の医師 揚げ餅を酒のつまみの渡世人 揚げものは賽の目にしてジグソーに

一言一話 131

食いしん坊〈1〉 (朝日文庫) 作者:小島 政二郎 朝日新聞社 Amazon 修善寺の旅館新井と虚子、斎藤茂吉、小津安二郎『お茶漬けの味』 新井は虚子の定宿でもあった。長編小説「お丁と」が「国民新聞」に連載される時、虚子は私たちのように毎日一回ずつ書かずに、全…

ケネス・バーク「特殊詩学、一般言語」 5

V 詩人と批評家の関係という問題については(詩と詩学との関係に潜む問題でもある)、もともと私はまったく異なった分野からの引用でこのエッセイを始めようと考えていた、音楽についてのボエティウスの言である。(E・K・ランドの『中世の創設者』からも…

ブラッドリー『仮象と実在』 227

[自然の哲学とはなにか] そうした自然の哲学は、少なくともそれ自体真であるなら、物理科学の領域に入り込むことはできない。というのも、端的に言って、それは全体的に、あらゆる形式において、起源について思弁をすることを慎むだろうからである。どのよ…