2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

マキノ正博『鴛鴦歌合戦』

日活100周年邦画クラシックス GREATシリーズ 鴛鴦歌合戦 HDリマスター版 [DVD] 発売日: 2012/09/04 メディア: DVD 1939年の作品であり、マキノは幾度も名前を変えているが、雅弘の時代の次郎長や高倉健の任侠ものを見るのをもっぱらとしていて、いわゆる…

ブラッドリー『仮象と実在』 66

第十二章 物自体 (宇宙を二つの半球に分けることは擁護しがたい。) ここまで、我々は実在に到達できないことがわかった。様々な方法で事物が取り上げたが、仮象以上のものを得ることに失敗した。どんなことを試してみても、調べてみると、矛盾していること…

英雄

明治の話題 (ちくま学芸文庫) 作者:柴田 宵曲 メディア: 文庫 英雄は胸を張って闊歩し、高邁な志を述べ、最後には腹を切って死ぬものだという中野重治の詩があったが、柴田宵曲の『明治の話題』によると、日露戦争当時、雑誌などでも大いに青少年の士気を鼓…

ブラッドリー『仮象と実在』 65

(最終的ジレンマ。) ここで我々は終了することができる。この教義は単なるあらわれから出発した。もちろん、単なるあらわれを越えることを余儀なくされ、無知で無鉄砲な仕方でそれをなしたのだった。それを退けるには僅かの批判で足り、残されるのは一つの…

露伴の齋藤緑雨の葬式における弔辞

明治の話題 (ちくま学芸文庫) 作者:柴田 宵曲 メディア: 文庫 齋藤緑雨の葬儀が、露伴を含めて数人の参列者によって執り行われたときの様子は、山田風太郎の明治ものの短編に描かれていた。柴田宵曲の『明治の話題』には露伴の弔辞の一部が紹介されている。…

ブラッドリー『仮象と実在』 64

(法則とはなにか。) このたったいま言及された産物の本性について疑問を投げかけるべきときだろう。それは束の間のあらわれのなかに見てとることのできる永続的で実在する本質なのだろうか。もしそうなら、再び現象主義は排除したはずのものを盲目的にあが…

イデアとしての糞

北回帰線 (新潮文庫) 作者:ヘンリー ミラー 発売日: 1969/02/03 メディア: 文庫 プラトン学者のバーネットは、イデアは古典ギリシャ語において、姿、形をあらわす、と主張していた。大工は家を、料理人はムニエルや天ぷらをイデアに倣ってつくるが、実際にで…

ブラッドリー『仮象と実在』 63

(過去、未来、同一性に関する難点。) 過去と未来の出来事について明らかな問題点が生じる。もしそれらと、それらと現在との関わりが実在ではなく、しかもそれらがなんらかの意味で存在しているなら、そこには私が入りこむ気のない難点が生じる。しかし、過…