2022-04-23から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈15

霧に舟牽く人はちんばか 野水 ちんばは跛脚である。古解に、「石混じりの場所に落葉して、霧雨に濡れたところを滑りながら行く人を見て、ちんばひくかと笑うさまだ」というのはよくない。これはただ、柳葉が力なく落ちる秋の岸で、霧のなかに舟を牽く人の姿…

トマス・ド・クインシー『スタイル』26

もし亜鈴のことをご存じなら思い起こしていただきたいが──ご存じないなら我々がお知らせしよう──鉄や鉛でできた円筒状の両端に同じ金属の球がついており、通常は緑のベーズで覆われている。だがこの覆いは、不実にも、我々の信頼しがちな指を三度に一度は引…

ブラッドリー『論理学』51

§72.もちろん、これは単なる形而上学だと言えよう。所与は所与であり、事実は事実である。いいや、我々は個的な判断と仮言的判断とを、前者は知覚にかかわり、そこに主張されている要素の存在が認められることをもって区別している。そうした区別は、あま…