2022-04-24から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈16

黄昏を横に眺むる月細し 杜國 一句の情、前句との係り、解釈に及ぶまでもなく明らかである。淀の舟かなにかから三日四日ころの月を眺めたものである。いい景色の句である。古解で、「この場所は淀川堤で、人物は遊びがてらの山歩きからかえったもので、酔っ…

トマス・ド・クインシー『スタイル』27

さて、こうしてギリシャ文学全体を見渡せるような場所に辿り着いたわけだが、いくつかの説明が必要だろう。ホメロスは、ヘシオドスは、ピンダロスはどこに行ったのか、と読者は尋ねるに違いない。ホメロスとヘシオドスは紀元前一千年前、少なく見積もったと…

ブラッドリー『論理学』52

§74.実在は感覚に与えられ、現前している。しかし、既にみたように(§11)この命題を転倒し、現前し与えられたものはすべて実在である、と言うことはできない。現前は単に我々にあらわれる空間と時間における現象の部分ではない。単なるあらわれと同一…