2022-04-29から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈21

今ぞ恨みの矢をはなつ聲 荷兮 矢をはなつ声は矢声というものである。引き絞って放つとき、わが国では「や」や「えいッ」といい、中国では「著」といって、力を込めあたることを期する、これを矢声という。「や」という名称もこの声からでたのだろうと古人も…

トマス・ド・クインシー『スタイル』32

まず、このことは不可能だと思われる。だが、現実には、より大きな関心事が学者たちには生じていた。より大きなというのは、より限定しがたいものだからであり、より限定しがたいというのはより精神的なことだからである。それはこういうことだった。西洋の…

ブラッドリー『論理学』57

§3.それぞれの判断の根源に帰り、その初期の発達を考えてみれば、両者の違いは明らかになる。肯定の初歩的な基礎となるのは観念と知覚との合体である。しかし、否定は単に観念と知覚との非合体というのではない。単に実在を指し示すことのない観念や観察さ…