2022-05-05から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈24

笠脱いで無理にも濡るゝ北時雨 荷兮 前句で清水を訪ねた人の風狂の様子をあらわしている。宗祇の句に「世にふるもさらに時雨のやどり哉」というのがある。「無理にも」は「濡れでも」でも済む。騒がしい客に雅に対応することから、遺跡に古句のい香りを味わ…

トマス・ド・クインシー『スタイル』35

結果的に言って、我々の原則に従えば、双方ともスタイルの開拓に好都合な状況に自らがあることを見いだしたに違いない。そして確かに彼らは開拓したのである。どちらの場合にも<芸術>として、実践として適切に追求された。学僧による荒削りで禁欲的な哲学…

ブラッドリー『論理学』60

§9.いまあり我々が見ているような主語は主語そのものではないという答えが返ってくるだろうことは確かである。ある場合には、主語は自らの性質を通じて呈示されたものを拒むし、別の場合には<我々の>間違いによって拒むこともある。しかし、私は、この反…