2022-05-15から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈33

箕にこのしろの魚をいたゞき 杜國 鰶を昔から「このしろ」と読み、また鯯も古くから「鯯」と読んできた。本によっては鮗とあるものもあるが、鮗もまたこのしろであり誤りではない。『新撰字鏡』に見えるもので、難ずる者は却って間違っている。字彙字典に見…

トマス・ド・クインシー『自叙伝』3

私の父の蔵書について記すにあたって、一言だけ付け加えたい。というのも彼のことを記すことは彼の階級を記すことだからである。蔵書は広範囲に渡るもので、英国とスコットランドの文学が過去から現在にかけて揃えられていた。一冊の本を歴史、伝記、航海記…

ブラッドリー『論理学』69

§7.この過程は更に考えることになるが、その前にある間違いを正しておこう。二者選択は常に排他的であるのかどうか疑われる向きがあるかもしれない。「Aはbあるいはcである」はAが両方である可能性を認めていると言われるかもしれない。それはbcある…