2022-05-19から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈37

廊下は藤のかげつたふなり 重五 一句は穏当で難なく、藤の花の美しく、春の日が柔らかに射したる廊下の様がめでたくのどかで、うるさく解するまでもない。これで一巻が終わるが、最終の句を揚句という。揚句の様は、必ずしも拘泥する必要もなく、稀には陰惨…

トマス・ド・クインシー『自叙伝』7

我々、この家の子供たちは、実際、非常に幸福な、よい影響を全面に受けることのできる社会的立場にあった。エイガーの祈り「我に貧困も富裕も与え賜うな」は我々に実現していた。我々のこの幸福は高すぎるものでも低すぎるものでもなかった。よい作法、自負…

ブラッドリー『論理学』73

第五章 同一性、矛盾、排中律、二重否定の原理 §1.否定的、選言的判断を論じたあとで、我々は同一性、矛盾、排中律のいわゆる「原理」と呼ばれているものを一緒に扱うことにする。加えて、二重否定についてもいくつか考察してみよう。 同一性の原理はしば…