2022-06-02から1日間の記事一覧

幸田露伴「是は/\」

質屋の佐野平に鹿鳴館から使いが来る。伺ってみると、貴婦人がいて、巨瀬金岡、古土佐、探幽応挙、容斎北斎などを気に入って七千円程度、千円だけ手付けにして取り置いてもらっているが、すでに日本で買い物をしすぎ、本国から送ってもらっているが、まだ一…

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈51

月は遅かれ牡丹ぬす人 杜國 月は遅れ、いま少しでてくれるな、さて牡丹盗人となろうということである。前句を転じて、小三太に盃を取らせ、酔いをよそおいて戯れると見なしての付け句である。「月は遅かれ」の言葉づくり、何となく謡いめいて面白く、あるい…

トマス・ド・クインシー『自叙伝』21

第二章で、私はこの上なく優しい姉妹たちの間で育ったことに深甚の感謝をあらわしておいたが、「恐ろしく戦闘的な兄弟たち」には触れなかった。とにかく、私にはそうした兄弟がひとりいた。私よりも年上で、クラスで最も激しい性格をもっていた。彼について…

ブラッドリー『論理学』87

§29.否定の否定が肯定である本当の根拠は、単に次のようなことにある。あらゆる否定において、我々は実定的な根拠をもっていなければならない。第二の否定における実定的な根拠は最初の否定によって否定された述部以外ではあり得ない。すでに<Aはbであ…