『とっておきのものとっておきの話』

とっておきのもの とっておきの話〈第1巻〉 (芸神集団Amuse)
- 作者: YANASE LIFE編集室
- 出版社/メーカー: 芸神出版社
- 発売日: 1997/04
- メディア: 単行本
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とっておきのもの とっておきの話〈第2巻〉 (芸神集団Amuse)
- 作者: YANASE LIFE編集室
- 出版社/メーカー: 芸神出版社
- 発売日: 1997/05
- メディア: 単行本
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『YANASE LIFE』というPR誌に15年間連載されたもので、著名人の愛用したもの、あるいは親しい人に贈ったものが、写真とともに、身近なひとによって紹介されている。
谷崎潤一郎が使っていた中国製の端渓の硯と筆。
内田百閒のガラスの船。日本郵船の嘱託をしていたときに「新田丸」という船の進水記念品として配られたガラスの文鎮。書いているのは孫の内田ミネ。
堀辰雄。「我思古人」と掘られた古印。
江戸川乱歩の手製の資料カード。
泉鏡花の白梅紅梅に、青い兎が描かれた皿。
坂口安吾の手のひら大のオイル・ライター。
堀口大学の盃。
萩原朔太郎の、目覚まし時刻になると「宮さん」をならす時計。
柳田国男の安全かみそり。
澁澤龍彦のブライヤーのパイプ。
色川武大のレコードやビデオのコレクション。
五味康祐のタンノイのスピーカー。
などなど、ごく一部である。
その人物がどんな生涯を送ったかについてはさしたる興味はないが、どんなものを使っていたかには大いに興味をそそられる、または骨董屋で何時間でも過ごせるような人間、あるいは、先日、歩いていたら、材木屋が副業として、ちょっとした家具などを手作りして売っていて、そのなかに文机があるのを見て、もちろんそんな物を置くところなどないし、そもそもフロアで畳のない生活をしているので、置ける場所があったところで、無駄になるばかりなのだが、その形だけに魅せられて、どうにかして使いようがないかな、とその後半日くらい考え込んでしまう私のようなものにとっては非常に魅力的な本である。