ルカ・ガァダニーノ『サスペリア』(2018年)、冒頭の夜の豪雨の場面から、
ルカ・ガァダニーノ『サスペリア』(2018年)。冒頭の夜の豪雨の場面から、この世ならぬところに連れて行ってくれるダリオ・アルジェントのリメイクなどは、そもそも名作のリメイク自体が一種の形容矛盾だと思っているので、全く期待しておらず、冒頭の30分くらいはそこそこ面白く見ていたが、どんどん減速、別に違う題をつけていれば、誰もリメイクだとは気づかず、文句もでなかっただろうに。
ヒッチコックの『裏窓』(1954年)は、ジェイムズ・スチュアートとグレイス・ケリーという無敵の組み合わせなのだが、ヒッチコックのなかではあまり好きになれない映画で、冒頭のパンによって主人公が写真家で、事故にあってという状況を示す一切無駄のない映像から始まり、結末のちょっと皮肉なオチにいたるまで語り口は見事だし、『ロープ』にも通じて、中庭という限定された空間ですべてが収まる実験精神にも富んでいるのだが、なんとなく好きになれないのは、どこか自分の病的な部分を刺激するところがあるのだろうか、それものぞき趣味に関してというよりは、カメラは撮るのも自分が撮られるのも好きではないという感情が絡んでいるようなのだがはっきりとしない。
ネットフリックスの『全裸監督』は面白いが、私のように村西とおるで育った世代からすると、というのは実は大げさで、クリスタルはあまり好きなメーカーではなかったのだが、村西とおると黒木香がいる日常を過ごしていたことは確かで、そんな私にとって村西とおるはもっといかがわしく、得体の知れない人物であったはずで、山田孝之は好きな俳優で力演しているが、あんな好人物の訳はないと思えるのだが、まあドラマではあるしとも思うが、実名で登場しているわけだからとも思う。