電気石板蚤の市 2 相倉久人『ジャズからの挨拶』(1968年)
多分「大全」にも収められていると思うが、私が読んだのは『ジャズからの挨拶』の単行本から。
相倉久人は、ある時期から、ジャズ評論家というよりは、鈴木清順が監督した映画『ツィゴイネルワイゼン』に出演した俳優として思い返されるようになってしまった。
というところから、オレは状況劇場ー若松プロージャズというラインを考えてみたい。それは、小劇場ーアングラー商業主義的ジャズに対するアンチ・テーゼである。
「例えば、今、大事変でも起って君のペンがなくなっても、君のカメラが失われても、君が生きているならば肉体だけは残っているだろう。その時、ただ一本の火さえあれば始まるのは演劇なのだ」と唐十郎は書いている。これはもはや単なる一劇作家の発したことばではない。それは河原乞食の発言、下民の思想だ。オレはそこにひとりの新しいイデオローグの姿を発見する。
爆笑問題はほぼ同年代だが、アングラと小劇場と状況劇場をしばしば一緒くたにしているのを聞いて、全然違うんだけどな~と思い、爆笑問題というコンビ名は、状況劇場と似たセンスから名づけられているようにも思うのだが。