断片蒐集 15 アドルノ

 

美の理論 新装版

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芸術と意味 モンタージュ

 

極端なところまで首尾一貫性を貫くなら、それがどのような一貫性であれ、それがたとえ不条理と呼ばれるものであろうと、意味に類似した何かにたどりつくということ、この事実は真に芸術の謎の一つであって、芸術の論理的な力を証明するものにほかならない。しかしそのことは意味に類するものが形而上学的な実体であることを、つまり仕上げられた作品ならどのような作品であろうと手に入れると言われているような、形而上学的な実体であることを証明しているのではなく、むしろそれが仮象特性にすぎないことを証明しているにすぎない。芸術は結局のところ、意味を欠くものの真只中に置いて意味を暗示し、そうすることを免れえないということを通して仮象となる。しかし意味を否定する芸術作品は、統一されたものでありながら混乱しているといった作品でなければならない。これがモンタージュの機能であって、モンタージュは統一を形式原理として繰り返し作り上げるが、それと同時に部分を乖離したまま出現させることによって統一を否定する。