断片蒐集 ２２ 伊藤整

日本文壇史6　明治思潮の転換期 (講談社文芸文庫)

山田風太郎の明治ものに露伴を含めて四、五人で行った緑雨の葬式の様子を描いたものがあったと思う。

斎藤緑雨の露伴、紅葉評

緑雨は角火鉢に手をかざしながら、静かな調子でぽつりぽつりと文壇人の批評をした。｢幸田君はときどきこんなものをあの人が書いたかと思ふやうなものを書くですね。尾崎君にはムラがない｣と言つて、緑雨は、｢畢竟、露伴は名人で紅葉は上手といふんでせうな｣と言つた。