ケネス・バーク『歴史への姿勢』 65
... 悪の問題 Problem of Evil
あらゆる政策は、より少ない悪を目指す政策である。かくして、宗教的なアウグスティヌスと無神論のジェファーソンとは、一人が政府を人間の失墜に対する罰と説明し、一人が必要な悪と呼ぶことで結びつく。我々の用語で言えば、政府は必然的に官僚化を意味する。官僚化は、結果的に多数の欲せざる副産物を生みだす。
悪の問題は超越においてもあらわれる――世俗的祈りの過程において、人間は善の要因と悪の要因とが混じり合っているのを見るが、善の要素か悪の要素かを「本質」として選び「投票する」。そして、政策の選択は、「より少ない悪」の政策と悪ではない政策との選択ではない。二つのより少ない悪同士からの選択であり、一方が他方に比べて悪が少ないというに止まる。