ブラッドリー『仮象と実在』 69

第二巻 実在

 

  第十三章 実在の一般的性質

 

      (主として否定的な結果。)

 

 我々の第一巻の結果は主として否定的なものだった。実在を見る無数のやり方を取り上げたが、それらはすべて自己矛盾によって損われていた。実在は、少なくともその身分においてはそうした述語のただ一つも受け入れることができなかった。確かに我々は実定的ななにかを約束する考えで終わった。現象として退けられるのがなにものであれ、現象であるというまさしくその理由から、単なる非存在ではない。それはそっくり棚上げして無視することはできず、どこかになければならないのだから、実在に属するに違いない。それをどのようにしてか非実在のどこかに存在するととるのは無意味である。というのも、実在は現象をもっていなければならず、現象以下ではあり得ない、というのが我々の到達した一つの確かな結論だからである。しかし、実在がもっている性格については、いまのところ我々はなにも知らない。我々が残りの探求で向かわなければならないのはその知識である。この巻は、二つの部分に分けられる。最初の部分は主に実在の一般的性格を扱い、それを無数の反対意見から擁護する。それを基礎において次の部分に取りかかり、いくつかの特殊な特徴について考えることになる。しかし、厳密にそうした区分がされているわけではないことを認めねばならない。実際、できる限りの最上の方法で進む以外にどんな規則も私には認められないのである。