2021-07-10 一言一話 5 歴史 石川淳全集〈第11巻〉 作者:石川 淳 筑摩書房 Amazon 天保四年から八年にかけての飢饉のときのこと 天保四年の春、尊徳は茄子を食つて、それが秋の味であることを感じあて、ただちに異変を未然に察し、農民に誡してあらかじめ稗を作らせておき、やがて本物の秋が害悪を孕んで立ちはだかつたとき、よくひとびとの難を救つてゐる。 幸田露伴は「二宮尊徳」という子供向けの伝記を書いているが、同じエピソードはのっていなかった。 武蔵野の蔓に実となる大飢饉