一話一言 19

 

 

連続性へのノスタルジー

 

 

基礎的には、連続から非連続へ、あるいは非連続から連続への過程がある。私たちは非連続の存在であり、理解できない運命の中で孤独に死んで行く個体であるが、しかし失われた連続性へのをもっているのだ。私たちは、偶然の個体性、死ぬべき個体性に釘づけにされているという、私たち人間の置かれている立場に耐えられないのである。この死ぬべき個体の持続に不安にみちた望みをいだくと同時に、私たちは、私たちすべてをふたたび存在に結びつける、最初の連続性へのをも有している。私の語る郷愁は、これまでに私が論じてきた、基本的な事項を知らなければ理解できないというようなものでは全くない。いちばん単純な生きものの分裂と融合を知らない人でも、多くの波の中に失われて行く一つの波のように、この世に自分が存在しなくなることを思えば苦しむことは可能なのである。

連続性=死をノスタルジーとくくったところが秀逸。