一話一言 25

 

 

ヘーゲルの体系が失敗するところ

 

ヘーゲル的人間————「存在」にして「神」————は、企てとの等価値として完成され、完了する。自己は全一者にならねばならず、挫折することがない。喜劇的なもの、不満足なものにならず、個別者となり、労働の道へと組み込まれた奴隷となり、幾多の曲折を経て普遍的なものに到達する。こうした認識方法の唯一の失敗の基は、(・・・)人間の中で企てに還元できないもの、である。推論的でない現存在、笑い、恍惚、それら————最後の最後に————人間がいずれにせよそれにほかならぬあの企ての否定へと人間をつなげるもの、である。

 ジジェクなどが必死にヘーゲル諧謔化しようとしているが、口を真一文字に結んだヘーゲルの顔は容易に崩れようとしない。