一話一言 34

 

 

笑い--維持されぬもの

 もし私の生が笑いの中に身を滅ぼすとすれば、私の自信は無知の自信となり、結局は自信の全面的欠如となるだろう。狂乱の笑いは推論の手のとどく圏内から外へと出てしまう。推論の諸条件に依拠しながら、この跳躍を定義することはできない。笑いは宙吊りになっている。笑いは、笑う人間を宙吊り状態に放置する。誰にも、笑いを固執することはできない。笑いの維持は鈍重さに堕してしまう。笑いは宙吊りになっていて、何ものをも肯定せず、何ものをも鎮めはしない。

 笑いというと緊張と緩和から捉えられることが多いが、「宙吊り状態」というのがさすが。