一言一話 52

文学と問い

事物は何を意味するか、世界は何を意味するか?文学とはすべて、この問いなのだ。が、すぐさま言い添える必要がある。文学の特色といえばこれなのだから。つまり文学とは<この問い、マイナスその答え>なのである。かつてどんな文学にせよ、けっしてそれが課している問いに答えたことはない。そしてこの宙吊り状態そのものが、常に文学を文学としてきたのである。文学とは人間が、問いの暴力と答えの沈黙の間で操るこの非常に脆弱なことばのことなのだ。文学はそれが問いかける点では宗教的でもあり批判的でもあるのだが、それが答えを発しない点では非宗教的でもあり保守的でもある。問いそのものであり、何世紀もが文学を通じて問いかけてきた問いなのであって、答えではない。ヴァレリーは言っていたが、どんな神が、あえて「<我は欺く>」を御託宣のまくらにするであろうか?ところが文学とはこういう神なのである。おそらくいつの日か、文学を残らず欺瞞の術として記述することが可能になるだろう。そうなれば文学の歴史とは、作家たちが意味の問いに寄せた、矛盾した答えの歴史ではなくなっており、まさしくその逆に、問いそのものの歴史となっていよう。

答えを要求する文学があまりに多すぎる。