2021-09-14 一言一話 54 批評をめぐる試み―1964 (ロラン・バルト著作集 5) 作者:ロラン バルト みすず書房 Amazon 構造主義が対象とする人間 極限においては、構造主義が対象としているのは、或る種の意味を豊かにもった人間ではなく、意味を作り出す者としての人間である、とさえ言ってよいだろう。あたかも、人間の意味論的目的を汲みつくすのは意味の内容などでは全然なくて、こういった意味、歴史的な、偶発的な変数である意味を生み出す行為のみである、というが如くである。<<ホモ・スィグニフィカンス>>──これが、構造探求の目ざす、新しい人間であろう。 構造とは構造とのずれを発見するモデルである。