一言一話 61

 

俳句

俳句は、描写も定義もしない(結局、わたしが俳句とよぶのは、不連続な描線すべてのことであり、わたしの読みに提供されるような日本の生活のできごとすべてのことである)。俳句は、細くなってゆき、ただ指示するだけになってしまう。「それはこうだ」、「このようだ」、「そのようのものだ」と俳句は言う。あるいは、「このような!」とだけ言う。きわめて瞬間的で短い調子で(音のふるえも繰りかえしもなく)言うので、繋辞さえもが余計なものに思われるだろう。定義を禁じ、永久に遠ざけたことを後悔しているようにみえるから。俳句においては、意味は一瞬の閃光、光の浅い傷跡にすぎない。

前日に続いて、なるほどねえ。