一言一話 64

 

非現実と脱現実

    1. 非現実化すること:私はファンタスムの名のもとに現実を拒絶する。周囲の一切は現実的なものとの関係で価値を変える。例:恋する者は、恋するイメージ、つまり彼にとっての現実的なものとの関係で(妨げとなる)世界を非現実化する。この意味では、世界を非現実化するとは、恋の運命、恋のユートピアを実現することである。

    1. 脱現実化すること:現実的なものを失う点では同じだが、いかなる代替物がその喪失を埋めにくることもない。私はもはや想像的なもののうちにいるのですらなく、夢も見ない(恋する相手のことさえ夢見ない)。すべては凝固し、石化し、色を失う。すなわち、代替不可能となる。非現実化する:神経症になること≠脱現実化する:狂人になること。恋する者はその二つのあいだを行き来する。

     

    私はとことんファンタスムの人間である。