ブラッドリー『仮象と実在』 175

[この測りをもって比較的に真である方向に進む。]

 

 間違った現象が真理に移入しうるという原則については、すでに誤りについての章で議論を進めた。その方法は、すでに見たように、補足と再配列からなる。しかし、ここで以前の議論を繰り返すつもりはない。全体的な誤りとは、ある内容を実在に帰するが、再配分と融合を試みても同化されないことを意味するだろう。そうした極端な事例は可能ではないように思える。ある誤りが全体的でありうるとすれば、それが真理に転じたとき、その特殊な性質が消え去り、その事実上の姿が破壊されることでしかないだろう。しかしそれは、より低い真理においても生じることを認めねばならない。端的に言って、形而上学においては、真理と虚偽との厳密で完全な区別などありえないのである。どんな主張においても、問題となるのは、それを究極的な真理に移入するとしたら、主張のうちのどれだけが残るかということにある。こうした形容をされる特殊な性質を形づくるすべてのなかで、もし生き残るとしたら、どれだけのものが生き残るのか。そして、すでに見たように、それぞれの事例において残る量は、実在と真理の程度を決める。