一言一話 86

 

持続と外的対象

 われわれは本能的に印象を凝固させてそれを言語によって表現しようとする傾向がある。ここから、われわれはたえず生成の状態にある感情そのものを変化のないその外的対象と混同し、とりわけこの対象を表わす言葉と混同することになるのである。われわれの自我の変転を重ねる持続が等質的環境の中に投影されることによって定着されるのと同様に、たえず変化するわれわれの印象は、それの原因である外的対象のまわりを幾度もめぐることによって、その明確な輪郭と不動性を身に着けるのである。

感情や印象がしかるべき哲学上の位置を与えられた意義深い一節。