よろず紙反故 1

ご時世に直立する鮎の塩 

釜のない不毛な愛の転轍機 

あいと答えよ踏みにじられた蝉の抜け殻 

愛嬌の時代のついた青頭巾 

灰色の斜め左右のお愛想 

陶片の小さな神にご挨拶 

人形をマルチーヌと呼び愛子とし 

愛執の柵を越えたる獅子の影 

玉水や愛する君の髪先に 

愛妾の根岸の里の侘び住い