一言一話 111

 

 

スウィフトとヴォルテール

人生の様相に反応する態度全体が、かれをヴォルテールと反対のものにするのである。それは二人の二つの仮面が非常にはっきりと示している通りだ。一方は途断えることを知らぬ冷笑にとらわれ、事物を感情でではなく、理性によってとらえ、懐疑主義の中にとじこめられていた人間の仮面。もう一方は、ものに動ずることなく、冷ややかで、事物を逆の方法でとらえ、たえまなく感情を害されていた人間の仮面である。

もちろん、後者がスウィフトである。