2021-12-14 一言一話 126 雑記 食いしん坊〈1〉 (朝日文庫) 作者:小島 政二郎 朝日新聞社 Amazon 芥川龍之介と砕氷機 いつかなど、本郷の切通しを歩いていると、「砕氷機」という大きな看板が目に付いた。すると、芥川さんが、 「砕氷機というのはおかしい」 と言い出した。 「おかしいことはありませんよ」 と私が言うと、 「おかしいさ。だって君、氷を砕いたら、何になるんだ?」 「大きな氷を小さく砕くんだから、ちっともおかしいことはない」 「氷を砕いたって氷じゃないか。氷以外のものになるのでなければ、おかしいよ」 そんなことを言い合って、いつまでも歩いていた。 確かに、氷を砕いたら氷以外のものになると考える方が理にかなっている。