一言一話 143

 

パイ投げ

 

 【ハンクとスナップはチャップリン一座の脇役であった。】当然ながら、ハンクとスナップは、そこでパイ投げシーンを展開したのである。パイ投げシーンには芸術性のかけらもないなどというのは、ハンクとスナップのコンビの絶頂期を見たことのないひとが言うことだ。ほんとうのパイ投げの名人は、ただそこに突っ立っているのではなく、眉ひとつ動かさず顔でパイを受けとめるのだというスラップスティックの一法則をはじめとして、わたしは彼らから、じつにたくさんのことを教えられた。

 

パイ投げの名人!