一言一話 150

下村亮一『晩年の露伴』から。

 

八百善

 食物のことになると、八百膳の話はよく出た。昭和になって、銀座に浜作が出来ると、ときたま出向いたが、矢張り、料理のことになると、八百善のことになった。八百善の主人がものした、料理の本があるといっていたが、もちろん露伴は、その本を精読していた。おそらく日本料理の本としては、これが最高のものとしていた。

隠れなき名前をよすがにするもののウェブ上で見る八百善門前