幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈37
廊下は藤のかげつたふなり 重五
一句は穏当で難なく、藤の花の美しく、春の日が柔らかに射したる廊下の様がめでたくのどかで、うるさく解するまでもない。これで一巻が終わるが、最終の句を揚句という。揚句の様は、必ずしも拘泥する必要もなく、稀には陰惨な情景をもって終わることもないではないが、一巻がこれで終了するので、この句のように平らかに和らいだ姿で終わるのを多くする習いである。
廊下は藤のかげつたふなり 重五
一句は穏当で難なく、藤の花の美しく、春の日が柔らかに射したる廊下の様がめでたくのどかで、うるさく解するまでもない。これで一巻が終わるが、最終の句を揚句という。揚句の様は、必ずしも拘泥する必要もなく、稀には陰惨な情景をもって終わることもないではないが、一巻がこれで終了するので、この句のように平らかに和らいだ姿で終わるのを多くする習いである。