ブラッドリー『論理学』81

 §17.選言判断の性格を思い起こすと、そこには以下のように限定される事実があったことを思いだすことになろう。その性質は(i)ある領域のなかにあり、(ii)その領域には相反したものがあるので、実在はそのどちらかとして決定されねばならない。この基礎の上、我々は仮説を立て、「~かあるいは~」についての説明は終わったのだった。

 

 排中律もこうした性格をもっている。そこで我々が主張するのは、(i)なんらかの性質との関連が示唆される主語Aは、肯定と否定の領域にある述語との関係によって定義づけられ、両者と両立不可能なものとは関係をもたない。(ii)この領域では、主語はどちらか一つの領域の成員として性質づけられる。こうして「~かあるいは~」へと進むのである。

 

 §18.排中律は選言の一例である。それと同じ拡がりをもっているとは考えられない。その二つの矛盾する二者択一は、矛盾する対立物の存在に依拠している。数に関わらない排他性の存在が選言の根本だが、矛盾が相互排除から発達し、そこから肯定と否定との特殊な事例が発展したのである。共通の相反する選言が基本にあって、bと非bとの二者選択は、完全にこれに依拠している。