トマス・ド・クインシー『自叙伝』16

 最後に、英国教会が墓の所で執り行う荘厳な儀式になった。教会は死者が空中に留まっているまま放っておきはせず、彼らが墓の側に来て「心地よく厳粛な別れ」(1)を告げるまで待つのである。もう一度、最後に棺が開けられた。すべての眼が名前、性別、年齢、死亡日の記録を見渡していたが、なんとはかない記録だろう、しかも地虫に当てられた書信のように暗闇のなかに下ろされるのである。最後の最後には象徴的な儀式、涙と叫びが矢継ぎ早に、轟き渡るように悲哀の火砲から打ち出された。棺はその帰る家に下ろされる。棺は皆の目から消え去ったが、すべての眼は墓の深淵を覗き込んでいる。教会堂の番人が土と石の入ったシャベルをもって立っている。司祭の声がもう一度聞こえ————土から土に————すぐさま恐ろしいのど鳴りが棺の蓋から立ち上ってくる。灰から灰に————再び死にゆく者の音が聞こえる。塵から塵に————別れの嗚咽が墓穴が、棺が、顔が永遠に封印されたことを告げている。

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*1:1.この美しい表現は、確か、トロロープ婦人のものに違いない。私はそれを多分アメリカの辺境を舞台にした彼女の話で読んだが、そこでは、こうした別れがないことによって、巨大な森の影のなかで起こる身近な者の永遠の別離の暗い影が言語に絶するほど重たいものになるのである。