一言一話 97

 

黒曜石のように墨一色の個体

 かつて彼の局部が、まるで石炭か黒曜石のように光沢のある墨一色の個体であるのを見たのだったが、今度は彼の体全体がそれになっているのだった。

 彼は、今までの色とりどりの図柄の文様の上から墨を入れて、総てのものを墨の下に隠してしまったのである。墨は皮膚に入って藍色になり、彼は黒ん坊でなく藍ん坊になっていた。まるで藍がめに首まで漬かり、そのまま上がったといったらよい姿であった。あの滲んでぼけた線も、褪せて薄鼠色の霧になっていたぼかしも、総て新鮮な、ぴかぴか光る深い深い藍をたたえた一色の皮膚に変っていた。

タトゥーにはあこがれがあるが、墨一色だとなあ、ブルーマンと勘違いされそうだし。