2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

一言一話 18

澁澤龍彦翻訳全集〈13〉 エロティシズム,長靴をはいた猫 作者:澁澤 龍彦 河出書房新社 Amazon エロティシズム エロティシズムについては、それが死にまで至る生の称揚だと言うことができる。適切に言えば、これは定義ではない。しかし、私はこの言い方が何よ…

ブラッドリー『仮象と実在』 111

... [時間の統一。なにも存在しない。] 1.取り組むべき最初の点は、時間の<統一性>である。私の見解では、時間を<一つの>継起、あらゆる現象を一つの時間的つながりに属するものと見なす根拠はない。もちろん、我々はあらゆる時間を単一の系列の各部…

一話一言 17

太陽肛門 作者:バタイユ,ジョルジュ 景文館書店 Amazon 狂熱の媒介者としての<である> 世界がまさしく戯画的であることは明らかだ。すなわち何を眺めてもいまひとつのものの戯画である、或いはまた期待外れなかたちでの同一物である。 反省にふける頭脳の…

ブラッドリー『仮象と実在』 110

... [時間は超越される。] 恐らく、本来は問題をこのままにしておいた方がいいのだろう。というのも、先に進み、時間の非実在性について納得してもらうように努めるとなると、誤解が予想されるからである。私は我々の事実の本性を弁明しようと、或は言い抜…

一言一話 16

文学と悪 (ちくま学芸文庫) 作者:ジョルジュ バタイユ 筑摩書房 Amazon サド 性的な無秩序 性的な無秩序とは、限界づけられているかぎり自分にも他人にも統一あるものとして確立されているわたしたちの相貌を、解体するものにほかならない(その無秩序は、す…

ブラッドリー『仮象と実在』 109

... [時間はいくつかの方法で、自らを越えた何ものかを指し示している。] 時間は批判の検証に堪えうるものではなく、一触れしただけでばらばらになり、幻影であることを明らかにする。自己矛盾の詳細について繰り返すつもりはない。第一巻で示したとおりで…

一言一話 15

文学と悪 (ちくま学芸文庫) 作者:ジョルジュ バタイユ 筑摩書房 Amazon サド 自然 サドの言うことを<文字どおり>に真にうけることほど無駄なことはない。・・・概して彼は、神のかわりに、<永久運動の状態にある自然>を設定しているのである。しかも彼は、…

ブラッドリー『仮象と実在』 108

... [起源を問うことは不適切であり、「意識の事実」に訴えても無駄である。] 時間の起源を問うことは不必要である。心理学的に無時間的な要素から生みだされたと示すことは可能ではない。その意識は一般的に発達のある段階に付随して生じる。いずれにして…

一言一話 14

空間の詩学 (ちくま学芸文庫) 作者:ガストン バシュラール 筑摩書房 Amazon 胚種としての貝殻 どんな住まいにも、たとえば城館のなかにすら、胚種としての貝殻をみいだすことが現象学の第一の作業である。 さすがの一言、おみごと。

ブラッドリー『仮象と実在』 107

.. 第十八章 時間的、空間的現象 ... [時間と空間は説明はできないが、絶対と両立不可能ではない。] 時間と空間は、そのものとしては非実在であることが示されてきた。どちらにも、実在の述部としては問題にならない矛盾があることを見た。時間と空間は単…

ブラッドリー『仮象と実在』 106

... [決して、それは絶対と両立不可能なものではない。そこでいかなる多様性も失われるわけではない。] ついでに、もう一つの点、悪において強く感じられる類を見ない人格性について言及しておこう。より詳しい考察については、「私のもの」と「これ」との…

一言一話 13

空間の詩学 (ちくま学芸文庫) 作者:ガストン バシュラール 筑摩書房 Amazon イメージ、存在の生成 イメージはわれわれのなかに根をはる。たしかに外部からうけいれたものだが、自分にもきっとこれを創造することができた、自分がこれを創造するはずだった、…

ブラッドリー『仮象と実在』 105

... [不道徳としての悪。] 道徳的悪は更なる難点をもたらす。我々が目的とする内的観念と外面的な存在との単なる欠如や失敗の問題ではない。実際の戦いや対立と関わっている。我々はある観念をもっており、それには実現しようとする目的がある。他方におい…

一言一話 12

空間の詩学 (ちくま学芸文庫) 作者:ガストン バシュラール 筑摩書房 Amazon 詩、魂の働き 詩はたましいの働きであることをみとめなければならない。たましいにむすびつけられた意識は、精神の諸現象にむすびつけられた意識よりもはるかに静謐であり、非志向…

ブラッドリー『仮象と実在』 104

... [目的を実現することの失敗としての悪。] II.無駄、失敗、混乱としての悪を考えてみよう。世界の大部分は偶然の戯れである。自然と我々の生は、一つのことが実現されるときには、百ものことが失敗に終る闘争の場を示している。これは古くからの不満の…

一言一話 11

空と夢 〈新装版〉: 運動の想像力にかんする試論 (叢書・ウニベルシタス) 作者:ガストン バシュラール 法政大学出版局 Amazon 実質的感動 ポー <<実質的感動>>に対するエドガー・ポーの詩法の忠実さは徹底したものであって、それはどんな短い短篇にも現…

ブラッドリー『仮象と実在』 103

... [悪のいくつかの意味。苦痛としての悪。] 悪は、我々みなが知るように、いくつかの意味がある。(I.)苦痛、(II)目的実現の失敗、(III)不道徳、というのが挙げられる。最後の点についての十分な考察は後の章で、有限な人間と絶対との関係として扱うこ…

一円一話 10

空と夢 〈新装版〉: 運動の想像力にかんする試論 (叢書・ウニベルシタス) 作者:ガストン バシュラール 法政大学出版局 Amazon ポー 夢想の原始性 夢とイメージ 語り手は読者を恐ろしい場景の前においたのではなく、恐怖状況のなかにおいたのであり、彼は根源…

ブラッドリー『仮象と実在』 102

第十七章 悪 ... [ある間違いによってもたらされた難点。] 我々は誤りが絶対における完成と両立可能であることを見てきたが、悪の場合にも同じ結果に達するよう試みてみなければならない。悪は、もちろん、重大な難点をもたらす問題であり、なかでも最悪の…

一言一話 9

空と夢 〈新装版〉: 運動の想像力にかんする試論 (叢書・ウニベルシタス) 作者:ガストン バシュラール 法政大学出版局 Amazon ポー 失神 ポーは失神を、いわばわれわれの存在内部における墜落として、まず肉体的なものの意識が次々と消え、ついで道徳的なも…

ブラッドリー『仮象と実在』 101

... [この可能なる解決は実在であるに違いない。] いまのところこの解決を細部にわたって立証することはできず、許されてもいない。私が認め、主張したいと望む一つの説に止まっている。あらゆる誤りを取り上げて、全体に戻すことでそれがどう解消されるか…

一言一話 8

空と夢 〈新装版〉: 運動の想像力にかんする試論 (叢書・ウニベルシタス) 作者:ガストン バシュラール 法政大学出版局 Amazon ポー 力動的想像力の優位 彼は客観的なイメージのフィルムをくり広げる前に、読者のたましいのなかに、この想像的墜落を導入する…

ブラッドリー『仮象と実在』 100

... [その事実上の不調和は消し去ることができる。] しかし、我々の考察は不完全であるために擁護できない、というのは正当な反論であろう。誤りは単に否定的なものでは<ない>からである。孤立した不調和の内容は、結局のところ、事実上の不調和を伴って…

一言一話 7

瞬間と持続 (1969年) 作者:掛下 栄一郎,ガストン バシュラール Amazon ベルグソンとバシュラール ベルグソン氏とわれわれとの間には、常に変わらない方法の相違が存在する。すなわち彼は、出来事にみちた時間を、それらの出来事の意識の水平そのものにおいて…

ブラッドリー『仮象と実在』 99

... (誤りは分割と再配列によって真理となりうる。) 矛盾を取り除く唯一の方法が存在し、それは分解による。ある要素が抜き去られる代わりに、区別をもったより大きな要素を得て、対立が取り除かれる。最初はcとbという衝突し合う不整合な性質をもったAをも…

一言一話 6

新しい科学的精神 (ちくま学芸文庫) 作者:ガストン・バシュラール 筑摩書房 Amazon リズム・時間 リズムが構造に働きかけることをよく示している実証的な実験が、いくつかある。・・・もしフォスゲンCOCL2に、振動数がちょうど<塩素三五>の帯スペクトルに入る…

ブラッドリー『仮象と実在』 98

... (誤りはいかようにか、実在に属している。) 問題は誤りと絶対との関係にある。虚偽の現象がどうして実在のなかにあることが可能なのだろうか。我々は幾分かは誤りがなにによって成り立っているかを見ているのでもあるが、我々本来の問題にも直面している…

一言一話 5

石川淳全集〈第11巻〉 作者:石川 淳 筑摩書房 Amazon 天保四年から八年にかけての飢饉のときのこと 天保四年の春、尊徳は茄子を食つて、それが秋の味であることを感じあて、ただちに異変を未然に察し、農民に誡してあらかじめ稗を作らせておき、やがて本物の…

ブラッドリー『仮象と実在』 97

... (誤りは実在と調和しないために実在によって排除される。) 1.誤りが実在によって排除されるのは、実在が調和し、必然的にそうとられるべきである一方で、誤りが自己矛盾しているからである。それが(もしそれが可能なら)存在と一致しない内容だと言いた…

一言一話 4

Original Jelly Roll Blues Horgi Music Digital Productions Amazon ジャズは、甘美に、ソフトに、たっぷりのリズムで、スペイン風の味付けをもって演奏すべきである。 ジェリー・ロール・モートン ジャズは1803年以前のフランスの植民地であったルイジ…