ブラッドリー

ブラッドリー『仮象と実在』 175

[この測りをもって比較的に真である方向に進む。] 間違った現象が真理に移入しうるという原則については、すでに誤りについての章で議論を進めた。その方法は、すでに見たように、補足と再配列からなる。しかし、ここで以前の議論を繰り返すつもりはない。…

ブラッドリー『仮象と実在』 174

[基準とはなにか。本質的に関連する二つの特徴を持っている。] 真理と実在の完全性というのは最終的には同じ性格を持っている。それは明確で自律的な個物である。第二十章で私は個物であることが何を意味するのか示そうとした。その議論の主要な点を読者が…

ブラッドリー『仮象と実在』 173

[基準とはなにか。本質的に関連する二つの特徴を持っている。] 真理と実在の完全性というのは最終的には同じ性格を持っている。それは明確で自律的な個物である。第二十章で私は個物であることが何を意味するのか示そうとした。その議論の主要な点を読者が…

ブラッドリー『仮象と実在』 172

[それゆえ、全体的な真理あるいは誤りはなく、ただ正当性の多少があるだけである。] しかし、ここにおいて我々は誤りと真実が落ち合う点に行き着くことになる。完全に間違いであるような誤りが存在しないように、完全に真であるような真理は存在しないだろ…

ブラッドリー『仮象と実在』 171

[それは条件づけによる。] 別の言い方をすると、どんなカテゴリー上の判断も間違っているに違いない。主語と述語は、最終的に、どちらも他方であることはできない。しかしながら、この目標にいたらないなら、我々の判断は真理へ到達することに失敗したこと…

ブラッドリー『仮象と実在』 170

[真理――その性質。] 我々はすでに思考過程の主要な性質についてみてきた(1)。思考は本質的に「そこにあるもの」と「なんであるか」を分離することにある。この分解は事実上の原理として受け取れる。従ってそれは事実をつくりだす試みを拒否し、内容に自…

ブラッドリー『仮象と実在』 169

第二十四章 真理と実在の程度 [絶対に程度はないが、それは存在については真ではない。] 前の章で我々は真理と実在の程度についての問題に到達し、ここではこの観念に含まれるものを明確にするよう努めねばならない(1)。こうした試みは、完全にまた詳細…

ブラッドリー『仮象と実在』 168

[ひとつの魂の内部での同一性、それは機械的な見方をどれだけ超越するだろうか。] しかし、こうした作用力、制限された見方による同一性は、個々の魂を考えるときに変更されねばならない。その内的な歴史において、我々はその状態の同一性が現実的に動いて…

ブラッドリー『仮象と実在』 167

[多様な魂の同一性、性質と行動。] これとともに、我々は魂の同一性の問題に導かれることになる。我々は直接的な経験は個別なものであり、それとは反対の意見を擁護したいと思う者はまずいないであろうことを見てきた。しかし、いかなる点においても、二つ…

ブラッドリー『仮象と実在』 166

[諸魂間の交流、その性質。] この章を終える前に、魂と魂の関係について述べておく必要がある。魂の間のコミュニケーション、またその同一性と差異は、我々が間違いに関して注意深くあらねばならない点である。第一に、経験が互いに分離されることは確かで…

ブラッドリー『仮象と実在』 165

[どこまで身体と魂は独立しているのだろうか。] しかし、先に進む前に、考えておくべき点がある。魂の状態は、部分的であっても、先行する状態に常に続くものではないと思われる。単なる身体的な諸条件の配列が心的生のすべての根源を与えるように思える。…

ブラッドリー『仮象と実在』 164

[しかし、関係は不可解なままである。] 同じ結論は因果的な系列を考えることによっても達せられるかもしれない。通常二つの側面は分離不可能であり、一方を無視するのが許されるのは承認を得たときである。しかしその帰結では、いまだ我々は真の因果的な関係…

ブラッドリー『仮象と実在』 163

[真の見方が述べられる。] 精神と物質との因果的な関係ということで、それそのままであるとき、一方が他方に影響を与えるということが意味されているのではないことを言っておこう。魂そのものが身体に働きかける、身体的状態そのものが魂そのものに働くこと…

ブラッドリー『仮象と実在』 162

[一方が他方の無駄な従属物なのではない。] それゆえ、我々は魂と身体が因果的に結びつくと見なさざるを得ず、問題はその結びつきの性質となるように思える。それはすべていわば、一面的であり得るのだろうか。魂は身体に形容詞的に依存しており、決してある…

ブラッドリー『仮象と実在』 161

[それらは因果的に結びついている。] 現象は物理的な系列と心的な系列の因果的な関係を指し示す。だが、この現象は次のような形で生みだされるしるしとしてしか可能ではない。どちらの側も、我々のみるところを逃れてはいるが、他方の条件となっており、それ…

ブラッドリー『仮象と実在』 160

[身体と魂の関係。それらはひとつではない。] 我々が反対しなければならない見方を指摘することから始めよう。魂と身体はひとつの実在の二つの側面である、あるいは同じものを二回、その存在の二つの面から捉えなおしたものだとみられるかもしれない。ここで…

ブラッドリー『仮象と実在』 159

[(3)出来事ではないような心理的な事実は存在するのだろうか。] 3.しかし、出来事の系列としての魂という考え方は、心理学そのものの根拠から攻撃されるかもしれない。出来事以上の心的事実が存在し、そうした事実は我々の定義に反駁すると主張されるか…

ブラッドリー『仮象と実在』 158

[(2)この系は超越的な自我を含むのだろうか。] 2.我々は魂を現象としてみる見方が、それを身体に依存する隣接物にまでおとしめることにはならないことを見てきた。他の根拠に基づく反論にも答えられるだろうか。心的な系列は、その条件として、なにか超…

ブラッドリー『仮象と実在』 157

[反論を論じる。(1)もし現象的なものなら、魂とは有機体の単なる付属物なのだろうか。連続性と配置の問題。魂の理想的な構築。] 我々はここまで、魂と身体がどちらも現象的な構築物であることをみてきたが、次に両者の関係を追わなければならない。しかし…

ブラッドリー『仮象と実在』 156

[絶対の観点から示す。] 先に進む前に、同じ問題を全体の側から見ることは助けになるかもしれない。議論のために、全体において、なんらかの魂の状態でないものは存在しないと仮定しよう(第二十七章)。このことから、我々はそれらの魂は実在であるか、少な…

ブラッドリー『仮象と実在』 155

[それは経験と同一ではない。それを個人の観点から示す。] 問題を二つの側面から、魂が何であり、何でないかを知ることが助けとなるかもしれない。第一に、個人の経験から、次に同じことを外側から、複数の魂の側から見ることにしよう。 それでは内面からは…

ブラッドリー『仮象と実在』 154

[魂とはなにか。298] そして、魂が身体以上に自律的だといえないことは明らかである。こちらもまた、純粋に現象的な存在であり、不完全で不整合なあらわれであって、独立した「事物」として自らを維持する力はない。第一巻の批判は、自己が真の実在である…

ブラッドリー『仮象と実在』 153

[身体とはなにか。] 身体とはなにか。直前の章で我々はその答えを予期していた。身体は物理的世界の一部であり、自然そのものは完全に非実在であることを見てきた。抽象によって切り離された全体のある側面があり、それはなんらかの目的にとっては独立した実…

ブラッドリー『仮象と実在』 152

第二十三章 身体と魂 [それらは現象であり、反論に対してなんの根拠も与えるものではない。] この章の問題については、我々は希望のない難題に達するように思える。身体と魂との関係は、経験が示すように思えるある問題を提示するが、それは事実上解決されう…

ブラッドリー『仮象と実在』 151

[自然が偶然的であるのはいかなる意味においてか。] 自然についての他の問題は後に取り組むことになるので、ここでこの章を閉じることにしよう。我々は自然自体は実在をもたないことを見いだした。それは絶対の内部での現象という形でしか存在しない。感情…

ブラッドリー『仮象と実在』 150

[その整合性。] 次に整合性と呼ばれている問題に移ろう。この問題はほぼ一瞬で捨て去ることができよう。というのも、ある部分、それには形而上学に必要なものはないからであり、またある部分、後の章で扱わねばならないからである。しかし、整合性がどう理…

ブラッドリー『仮象と実在』 149

[自然の無限性。] 自然が融合する絶対においてを除けば、全自然が統一性をもつと主張する権利がないことを我々は見てきた。それでは、説明を必要とするいくつかの点についていくつかつけ加えよう。たとえば、我々は自然は有限か無限か問われるかもしれない…

ブラッドリー『仮象と実在』 148

[固性。288-290] かくして、我々は各々空間的な諸関係において独立した、数多くの物理的体系をもつことができる。そして、我々はこの点からもうひとつの関心に進むことができる。そうした多様な物質の諸世界は、ある程度互いに働きかけ、影響しあうことが…

ブラッドリー『仮象と実在』 147

[自然の統一性。] 拡がりのある世界はひとつのものなのだろうか、もしそうなら、どのような意味でか。第十八章で我々は時間の統一性を論じたが、そこで達した結論を思い起しておく必要がある。我々はすべての時間は絶対のなかで統一するが、この統一自体が…

ブラッドリー『仮象と実在』 146

[物理学の立場。] さて、我々が幾度が触れてきた問題を考えることにしよう。実在には、単なる物理的自然がありえないことを我々は見てきた。物理学の世界は独立したものではなく、全体的経験の一要素に過ぎない。そして、有限な諸魂を離れては、この物理世…