2022-05-24から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈42

麿が月袖に羯鼓を鳴らすらむ 重五 「麿が月」、麿を所有格として解釈してはならない。深川夜遊の「唐辛子の巻」に、「伏見あたりの古手屋の月」という芭蕉の句があるが、古手屋が月の主ではなく、古手屋のあるところの空に月がかかっているのである。ここも…

トマス・ド・クインシー『自叙伝』12

私の死についての感情やイメージが、パレスチナやエルサレムと関連して、いかに夏と込み入った連想を伴っているかを示すために脇道にそれたが、姉の寝室へ戻ろう。目の醒めるような日の光から私は死体の方へ向いた。そこにはかわいらしい子供の姿が、天使の…

ブラッドリー『論理学』78

§11.矛盾の原理が事実についての言明なら、それは相反は相反であり、排除し合うものは融和させようとするどんな試みにもかかわらず両立不可能なままだという以上のことは言っていない。また、それを一つの規則として呈示するなら、それが言うのは、「矛盾…