2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧
ヒューマニズムとしての狂気 (NHKブックス (402)) 作者:岩井 寛 メディア: 単行本 現実が遠くにあるのではなく、身近にありすぎて処理できない。 分裂病者の覚醒レベル 呼吸、脈拍、血圧、自律神経機能などを調べて、分裂病者は正常者に比べて極度に覚醒レベ…
.. 第二章 中枢用語の辞書 ... 疎外 alienation マルクスから借りた用語で、彼はヘーゲルから借り、ヘーゲルはディドロから借りた。*人間がなんらかの理由によって、世界を<根本的に不合理なもの>と思い、それゆえ世界を「所有」することができなくなった…
Necessary Angels: Tradition and Modernity in Kafka, Benjamin, and Scholem 作者:Alter, Robert 発売日: 1991/03/01 メディア: ハードカバー ベンヤミンの『パサージュ論』は膨大な断片の集積のように見えるが、 実は一般的な読者が考えている以上に完成…
幸田露伴 (日本幻想文学集成) 作者:幸田 露伴 発売日: 1991/10/01 メディア: ハードカバー 埋め立てが大規模におこなわれるようになったのは、江戸時代に入ってからで、日比谷の辺りまで入り江が食い込んでいた。現在の中央区、江東区、港区の一部は江戸時代…
Necessary Angels: Tradition and Modernity in Kafka, Benjamin, and Scholem 作者:Alter, Robert 発売日: 1991/03/01 メディア: ハードカバー 晶文社の著作集の一巻に「シュルレアリス」があるように、ベンヤミンは友人のアドルノやショーレムと異なり、シ…
... 儀式の主要な構成要素 ある作品の組織は、権威の「主要」シンボルとの関わりにおいて考えることができる。作品はある種の儀式であり、詩人は権威を受容するか拒絶するか目録づくりを行なう。 にべもない拒絶が象徴化されるなら、多かれ少なかれ明確な反…
中国文学十二話 (NHKブックス 75) 作者:奥野 信太郎 メディア: 単行本 逆にいえば、シノプシスとしての短編が考えられる。 唐代の短編小説 いろいろの文学史に、唐代になって短編小説ができたと書いてありますが、これはちょっとわたくし、異議があるので、…
中国文学十二話 (NHKブックス 75) 作者:奥野 信太郎 メディア: 単行本 広大な中国では天と地との対照が鮮やかで、巷のこぼれ話と神意が張り詰めた糸のように繋がっていそう。日本では天が低く、神の住む場所としては役不足。 街のこぼれ話 街のこぼれ話、と…
中国文学十二話 (NHKブックス 75) 作者:奥野 信太郎 メディア: 単行本 今更鷗外が博識なのにびっくりはしないが、教養がある人がいないと、こちとら無教養な人間が生きにくい。 鷗外と左伝 明治大正の文豪として誰でも知っている森鷗外は、『左伝』の文章を…
... 分析的「放射」 芸術や生の象徴的行為を論じようとすると、数多くの方向に一度に向かわなければならない理由については既に述べた。シンボルは総合的なので、それを構成要素に分解しようとする試みは、どんな場合でもある種虚構となる。ある要素を選んで…
中国文学十二話 (NHKブックス 75) 作者:奥野 信太郎 メディア: 単行本 『平家物語』語りの琵琶法師に同じく。 『春秋左氏伝』の作者 昔から『左伝』は、左丘明という人が書いたという説になっております。孔子の弟子に左丘明という人がおりますが、それとは…
アラン 幸福論 (岩波文庫) 作者:神谷 幹夫 発売日: 2014/12/18 メディア: Kindle版 「想像された幸福」とは、幸福な生涯というときの全体的なもので、「実質的」な幸福は生活の肌理となろう。 幸福 幸福は自分の影のようにわれわれが追い求めても逃げて行く…
アラン 幸福論 (岩波文庫) 作者:神谷 幹夫 発売日: 2014/12/18 メディア: Kindle版 とはいうものの、私はあくびをあまりしない。この前いつしたか思い出せない。まあ、いちいち覚えているようなものでもないので、思い出せないことはさておき、睡魔に襲われ…
... 選択の検証 ある特徴を強調し、別のあり得る区別を無視する選択のパターンである批評家の検証法は、実用的に使用される。無数のあり得る区分けを前にし、社会的根拠として重要だと考えるものに焦点を当てる。大ざっぱに言うと、現在の世界の状況において…
アラン 幸福論 (岩波文庫) 作者:神谷 幹夫 発売日: 2014/12/18 メディア: Kindle版 犬は子供の頃に飼っていたが、もちろん暖炉もなく、そのせいでもないだろうが、あくび姿はあまり記憶にない。しかし、動物で最もしどけない姿をするのは、リクガメだと思う…
... 総合と分析 著作そのものが象徴的な総合の行為である。本の作家は、無数の異なった要因が入り混じる個人的な状況のもとにある。彼独自の組み合わせは唯一無比のものであり、集中して書かれる本は、この唯一無比の組み合わせを要約したものである。しかし…
アラン 幸福論 (岩波文庫) 作者:神谷 幹夫 発売日: 2014/12/18 メディア: Kindle版 手元に本がなにので確かめられないが、船の箇所はタイタニックのことを言っているのかしら。 恐怖と悲劇 シェークスピアの『マクベス』のなかに、城館に朝がきて門番が夜明…
グレート・ビューティー 追憶のローマ [DVD] 発売日: 2015/03/06 メディア: DVD イル・ディーヴォ [DVD] 発売日: 2013/03/06 メディア: DVD 学生のころ、私にとってイタリア映画はある種のジャンル映画であり、もっとも好きなジャンルだった。日本映画やアメ…
アラン 幸福論 (岩波文庫) 作者:神谷 幹夫 発売日: 2014/12/18 メディア: Kindle版 マッセナ元帥は、ナポレオンの元で元帥になった軍人。 恐怖 多くの者が恐怖を、ことばでもってやっつけている。しかも強い論拠をもって。ところが、恐怖を感じている者はそ…
.. シンボルの追跡 シンボリズムの研究が常に「的はずれ」なものとなり、苛立たしいものであることは認めねばならない。例えば、ある作家が山の生活を語っていると、我々は「彼はなんのことを話しているのだ」と無礼な質問を始める。自動的に、彼が山での生…
日本文壇史6 明治思潮の転換期 (講談社文芸文庫) 作者:伊藤 整 発売日: 1995/10/03 メディア: 文庫 弟子というのではないが、年下の文学者の友人ということでいえば、寺田寅彦が漱石の死後、露伴の自宅を訪れていたし、歌人の斎藤茂吉は医者だという面もあっ…
... シンボリズムの両義性 この問題は、近年ロシアで起こった論争を分析することで例示してみよう。ショスタコヴィッチのオペラ、『ムツェンスク郡のマクベス夫人』に向けられた突然の攻撃を思い起こそう。ショスタコヴィッチは好評を博していた。しかし、こ…
日本文壇史6 明治思潮の転換期 (講談社文芸文庫) 作者:伊藤 整 発売日: 1995/10/03 メディア: 文庫 山田風太郎の明治ものに露伴を含めて四、五人で行った緑雨の葬式の様子を描いたものがあったと思う。 斎藤緑雨の露伴、紅葉評 緑雨は角火鉢に手をかざしなが…
日本文壇史5 詩人と革命家たち (講談社文芸文庫) 作者:伊藤 整 発売日: 1995/08/04 メディア: 文庫 どこで読んだのかすっかり忘れてしまったが、泉鏡花が露伴に対してあまり好意を抱いていなかったという記憶がある。誰かが鏡花との談話の中で露伴の話を持ち…
第三部 象徴的構造の分析 .. 第一章 儀式の一般的性質 「可能な限り最上の世界」があったとしても、象徴的な修繕の必要は続くだろう。様々な経験の諸相を「位置づける」想像的概念的形象の根拠として、広大な象徴的総合物を打ち立てねばならない。このシンボ…
日本文壇史4 硯友社と一葉の時代 (講談社文芸文庫) 作者:伊藤 整 発売日: 1995/06/05 メディア: 文庫 平田禿木と露伴 また荒川漁郎なる評家は「太陽」で、露伴文学の特色は、他界に幽玄を求めるのがその特有の境地であり、「ささ舟」で一段の進歩を見せたと言ひ…
日本文壇史4 硯友社と一葉の時代 (講談社文芸文庫) 作者:伊藤 整 発売日: 1995/06/05 メディア: 文庫 幸田露伴『風流微塵蔵』 数珠のやうにつなぎ合はされた物語、又は環を連ねたやうに書かれた物語として一つの小説の構造をまとめてゆく方法は、その原型と…
第六章 喜劇による矯正 <両義性>という考えは、プロパガンダ(教訓)戦略についての主要な問題を我々にもたらす。我々は、社会的必然のみで物事を見る一方的な論点に欠けている、二面性を含んだ本質的に<喜劇的な>考えをとるべきだと考えている。それは…
日本文壇史2 新文学の創始者たち (講談社文芸文庫) 作者:伊藤 整 発売日: 1995/02/06 メディア: 文庫 日本近代文学の五つの型 この作品[「舞姫」のこと]が、二十三年一月の「国民之友」の新年号附録に現はれたとき、それは極めて新鮮な印象を読む者に与へ…
ガラスの靴・悪い仲間 (講談社文芸文庫) 作者:安岡章太郎 発売日: 2014/03/14 メディア: Kindle版 発表された年は私が生まれた年の10年以上前であり、そもそも大学生になるまでは千葉や神奈川の郊外に住んでいて、東京にでることなど滅多になかったので、…