2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧
言語・真理・論理 作者:A.J.エイヤー 発売日: 1955/02/25 メディア: 単行本 こうした論理実証主義的な考え方には現在ではほとんど興味はないが、あくまで原理、原則を見出そうという姿勢には敬意を感じる。 意味のある文章 我々は、次のような場合、そしてた…
... 手がかり Cue もしある男を英雄、或いはろくでなしと呼び、言葉通りを意味するなら、解釈によってその言葉の「道徳的重み」を探る必要はない。言葉の個人的な使用が公的な意味と対応しているから、姿勢は明らかである。他方、一見中立的でありながら、実…
決定版 夏目漱石 (新潮文庫) 作者:淳, 江藤 発売日: 1979/07/27 メディア: 文庫 「愛」や「倫理」は虚構であるかもしれないが、少なくとも西欧においては、言葉と同じく意識を持つ人間にとって切り離すことのできないものとしてある。俗世を離れる、つまり言…
... 支配 Control 悪い状況を支配するには、悪い要素を根絶するか、それをどこかに誘導するかである。廃絶対「避雷針の原理」であり、雷を追放することによってではなく、害の及ばない方へ誘導することによって雷から身を守ろうとする。素朴な自由主義の擁護…
決定版 夏目漱石 (新潮文庫) 作者:淳, 江藤 発売日: 1979/07/27 メディア: 文庫 小器用さより愚鈍さが貴重だ。 文学が判らぬという才能 漱石 彼らは[藤村や花袋]、この狂人めいた文部省留学生にくらべてはるかに西欧文学の魅力に忠実だったので--即ち、日…
... 交感 Communion 社会において、常に働いているのは、共同作業のネットワークがやりとりされるシンボルのネットワークを伴う仕組みである。「交感」は協同的で象徴的なネットワークにおいて、共通の利害のもと人々が相互依存することを示している。芸術家…
ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈下〉 (ちくま学芸文庫) 作者:エーリッヒ アウエルバッハ メディア: 文庫 歴史認識と自己認識の深さが直結することがエッセイの発明だった。 自己認識の企図 モンテーニュ 任意の一つである自分の生活をモンテー…
鴎外―その側面 (ちくま学芸文庫) 作者:中野 重治 メディア: 文庫 第二次世界大戦のあいだから、ほぼ20年にわたり、機会に応じ断続的に書き継がれたものであるために、首尾一貫した論考ではない。晩年の3編の史伝(厳密にいえば、『渋江抽斎』と『北条霞亭…
ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈下〉 (ちくま学芸文庫) 作者:エーリッヒ アウエルバッハ メディア: 文庫 石川淳は、随筆の本質を、広く本を渉猟し、そのアンソロジーをつくることだとした。大田南畝の随筆などはその見事な実例である。エッセイ…
... 結合群 Clusters どの主題の結合群がどの主題の結合群と結びつくかに注意することで、意味作用が理解される(aという主題に集中するときいつも詩人はb、c、dというイメージを導入する)。その素晴らしい例は、キャロライン・スパージョンによるシェ…
復興期の精神 (講談社文芸文庫) 作者:花田清輝 発売日: 2014/04/04 メディア: Kindle版 神曲【完全版】 作者:ダンテ 発売日: 2010/08/26 メディア: 単行本 ダンテが同い年のベアトリーチェにはじめて出会ったのは9歳のとき、春の祭りにおいてであった。一眼…
ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈上〉 (ちくま学芸文庫) 作者:エーリッヒ アウエルバッハ メディア: 文庫 ダンテは『神曲』において、ある種の活人絵の美術館か動物園をへめぐっているようなものであり、ベアトリーチェが登場するときに、初めて…
... 決疑論的拡張 Casuistic Stretching 決疑論的拡張とは、理論的には古い原理に忠誠を誓っていながら、新しい原理を導入することである。教会が表向きは投資を禁じた法体系のもとにありながら、投資の拡大を許していることは既に見た。法律家は、決疑論的…
ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈上〉 (ちくま学芸文庫) 作者:エーリッヒ アウエルバッハ メディア: 文庫 最近のアニメには騎士が多く登場するが、作者が意識的なのかはともかく、伝統に則っている。 宮廷世界を縁取りする規範 宮廷世界において…
ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈上〉 (ちくま学芸文庫) 作者:エーリッヒ アウエルバッハ メディア: 文庫 『ミメーシス』はホメーロスと聖書の比較から始まっているが、小説にはまだ遠い。この本は歴史や時間を見出すまでの文学論でもある。 予…
... 想像的なものの官僚化 Bureaucratization of the Imaginative この定式は、基本的な歴史の過程を「不調和による遠近法」で名づけたものである。恐らく、それは死にゆく過程を名づけたに過ぎない。「官僚化」Bureaucratizationというのは扱いにくい言葉で…
ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈上〉 (ちくま学芸文庫) 作者:エーリッヒ アウエルバッハ メディア: 文庫 ホメーロス的人物は存在できなくなった。バカになってしまう。『ドラゴンボール』の孫悟空など無垢で最強の人物にホメーロス的残滓がある…
ミメーシス―ヨーロッパ文学における現実描写〈上〉 (ちくま学芸文庫) 作者:エーリッヒ アウエルバッハ メディア: 文庫 ホメーロス的人物は存在できなくなった。バカになってしまう。『ドラゴンボール』の孫悟空など無垢で最強の人物にホメーロス的残滓がある…
... 架橋の装置 Bridging Device 象徴的構造物によって人は闘争を「超越する」。かくして、アクイナスの哲学的枠組みは、現状を維持し正当化する理論によって、農奴と貴族とを架橋した。権威は慣習に根づいている。身分の相違は慣習によって確立されていた。…
ヒューマニズムとしての狂気 (NHKブックス (402)) 作者:岩井 寛 メディア: 単行本 今は躁病とあわせて双極性障害と言われることが多い。小説家でエッセイストの北杜夫は、自身が躁鬱病であることを公言していたが、現在のように病気としての側面が前面に出て…
... 窮地に追いつめられる Being Driven into a Corner 道徳的に徹底した子供たちは、自分たちを「善」か「悪」かだと感じがちである。ちょっとでも正しいことをさせると、「完全な美徳」を手に入れたような感覚をもつ。ちょっとでも間違ったことをすると、…