2022-05-22から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈40

野菊までたづぬる蝶の羽折れて 芭蕉 句は言葉通りで解する必要もなく、明らかである。ただ、発句は初雪で冬、脇も霜で同じく冬、第三句は野菊で秋だが、美しい園の菊ではなく野菊までといい、蝶も元気ではなく羽が折れているといっているので、前句との写り…

トマス・ド・クインシー『自叙伝』10

私の先達であり仲間を連れ去った病気について詳細に述べる必要はない。(私の記憶によれば)その時彼女は九歳に近く、私は六歳に近かった。多分年齢や判断力から来る権威が自然に彼女を上位者としていたのだが、それに彼女自身は認めようとしない優しい謙虚…

ブラッドリー『論理学』76

§7.我々は「私は歯が痛い」といった判断が、そうした感覚に訴える形式では本当には真でないことを見た。それらは定言的真理であることに失敗し、ほとんど仮言的真理にも達していない。それを真にするためには、現在の事例を越えるようなつながり、歯痛の諸…