ブラッドリー『論理学』82

 §19.排中律は選言の一種である。その性質は次のように調べねばならない。(i)選言は共通の性質を主張する。「bあるいは非b」においてAについて主張される共通の性質はbに対する一般的な関係である。(ii)選言は両立不可能な領域を主張する。bの肯定あるいは否定がAの行き着く領域である。その領域の外に行くことはなく、あらゆる相反物が完全に与えられている証拠は、私がそれ以上のものを見いだせないことからわかる。(iii)選言は主語Aを領域の一つの要素に帰する。この部分については特に述べるようなことはない。

 

 §20.しかしながら、より調査を進めると、排中律公準が選言判断の限界を超える地点を見いだす。それは、あらゆる可能な存在に共通の性質を主張しているために、更に進んだ原理を含んでいる。それは、あらゆる実在は、あらゆる可能な述語に関する判断において、それを定義づけるような性格をもっている、ということにある。この性格は、あらゆる対象について示唆されるあらゆる関係を判断の基礎として与える。あるいは、より一般的な形で言うと、宇宙のあらゆる要素はある性質を有しており、それは他のあらゆる要素との関係において論理的に定義づけられる。