2022-05-25から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈43

桃花を手折る貞徳の富 正平 松永貞徳は洛外に五つの庭園をもっていた。梅園、桃園、芍薬園、柿園、蘆の丸屋である。句の意味は解釈するまでもなく明らかである。前句とのかかりは、前句の悠々自適の様子に応じたまでのことである。貞徳は長頭丸といわれてい…

トマス・ド・クインシー『自叙伝』13

私の耳がこの巨大な風神の音調を聞き、私の眼が金色の生の充溢、天の壮麗さや花の光輝に満たされたとき、そして姉の顔に広がる冷たさに向き直ったとき、私は忘我の状態に陥った。蒼穹が遙かな青空の天頂で開き、一条の光線が走っているようだった。私の精神…

ブラッドリー『論理学』79

§13.「Aは非Aではない」、「Aはbかつ非bではない」、「Aは同時に存在し存在しないことはできない」といった様々な言い方でなされる公準には、原理の真の問題は含まれていない。というのも、もしAが非Aであるなら、それがAとは矛盾する性質をもっ…