2022-05-11から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈29

秋水一斗漏れ盡す夜ぞ 芭蕉 秋水という語の用例によれば、秋のときに出る水をいう。『荘子』秋水篇の秋水のようなものである。秋水揚波、秋水帆漲、みな同じことである。また秋は水の清むものなので、透徹した水も秋水という。劉禹錫の詩の句に、「秋水清く…

トマス・ド・クインシー『スタイル』40

紀元前四四四年から三三三年までの奔流のようなアテネ文学の流れは真っ逆さまに、劇詩あるいは演壇における雄弁の方向に向かったのだろうか。アテネ市民にとって、民衆の賞賛や共感を得ようとするならどちらかの道しかなかった。芸術家や軍隊の指揮官になる…

ブラッドリー『論理学』65

§19.かくして、矛盾は「主観的な」過程であり、名もなく食い違った性質に依拠している。それは「客観的な」実在を主張することはできない。その基礎が限定されていないので、救いがたい曖昧さのなかにある。「AはBではない」というとき、なにを否定して…