2022-06-01から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈50

小三太に盃取らせ一ッうたひ 芭蕉 小三太は特定の人物の名ではない。ただその人柄をあらわすだけの仮の名である。旧註には、扈従の童であるとか子供だとしてある。主従のちぎりが深く、頼み頼まれる関係の侍などであろう。一句は前句を受けて、明日を必死の…

トマス・ド・クインシー『自叙伝』20

第三章 戦いの世界の始まり かくして、私の生涯の一章は終了した。既に、六歳が終わるまでには、この第一章は一巡し、その音楽の最後の音が演奏されたのである————熟した果実が木から落ちるように、私の生を織りなしているものから永遠に引き離されたように…

ブラッドリー『論理学』86

§27.この問題につけ加えて、イェボン教授の精妙な議論についても述べておこうと思うが、残念ながら私にはその議論が理解できないと言わねばならない。彼は、「A=Bあるいはb」と言うのは不正確に違いない、と論じる。*というのも、「Bあるいはb」の…