2022-05-20から1日間の記事一覧

幸田露伴芭蕉七部集『冬の日』評釈の評釈38

初雪の巻 思へども壮年未だ衣振はず 初雪の今年も袴きて帰る 野水 左太沖の詩に「被褐出閶闔、高歩追許由、振衣千仞岡、濯足万里流」とある。被褐懐玉は徳を包み世を避ける意味で、『孔子家語』に出ている。閶闔は洛陽城西門のこと。許由は朝廷に位があった…

トマス・ド・クインシー『自叙伝』8

しかしながら、私はこのことを急速に知るに至った。私の二人の姉、その時生きていた三人のうちの年上の二人で私よりも年かさである姉たちが年若い死に見まわれたのである。最初に死んだのはジェーンで、私より二歳年上だった。彼女は三歳半、私は一歳半で、…

ブラッドリー『論理学』74

§3.同一性の公準は、同語反復の原理の意味にとると、明らかな誤りに過ぎない。問題は、こうした誤りのもとは論理学から完全に抹消してしまったほうがいいかどうかである。同一性の公準が差異の公準のように正当なものでないなら、それにどのような形を与え…