ブラッドリー『仮象と実在』 107

.. 第十八章 時間的、空間的現象

 

      ... [時間と空間は説明はできないが、絶対と両立不可能ではない。]

 

 時間と空間は、そのものとしては非実在であることが示されてきた。どちらにも、実在の述部としては問題にならない矛盾があることを見た。時間と空間は単なる現象であり、その結果は確かである。他方において、両者とも存在する。両者ともなんらかの方法で我々の絶対に属するものでなければならない。この存在の可能性についてはいまだ疑いが生じうるだろう。

 

 時間と空間という現象がどのように存在するようになったのか、また、矛盾することなくどうやって絶対のなかで実在となりうるのかを説明することは私の問おうとするところではない。この類のことは不可能であると確信している。私が主張したいと願っているのは、そうした知識が必要ではないということである。我々が知る必要があるのは、そうした現象が絶対と両立不可能なものではないということだけである。我々のそうした見解に対して致命的となる例が主張されてきた。こうした反論は間違いに基づいていると言わねばならない。空間と時間は絶対が可能でないことの根拠を与えるものではない。この場合、再び、我々は古い議論を持ちださねばならない。これらの現象は、それらを含み、それらを超越する調和のなかに解消されることが可能であるので、そしてそれは必然的であるので、我々の主要な原則に従えば、存在すべきものであり、それゆえ真の実在である。それではこれらの現象をより詳しく調べてみよう、まず始めに時間を考えよう。